なぜ我々は、対立を抱えながらも、同じ空間を共有する社会のために体系的なインパクトを作り出せないのか? この問いは、社会的な目標を目指そうとする組織や個人がどこかで直面する根深い問題です。
これは単なる問いにとどまりません。人間の協働の複雑さと社会構造の構成について、より掘り下げる挑戦です。
そもそも「インパクト」とは何か?インパクト投資の「父」として言及される先駆的な慈善家かつ投資家であるロナルド・コーエン氏は、以下のように定義しています。
金融リターンに加えて意図的にポジティブな社会的または環境的効果を生み出す効果。これには意図性、測定可能な証拠、継続的なパフォーマンス管理、社会変革への貢献を含んでいること。
Quotes from Sir Ronald Cohen
異なる特性を持つ人々や組織が自然発生的に、必然的に、そして主体的に共通の意識と目的を持って結束し、コーエン氏が語るような「インパクト」を共に創造する共創世界は、果たして実現可能なのでしょうか?
歴史的な社会的組織の変遷
本題に入る前に、まずは多くの洞察に満ちた人類史の豊かな歴史を振り返ります。なぜなら遥か昔の時代において、すでに人々が戦略的に共創する術を発明していたからです。彼らの秘訣から現代の世界に応用する可能性を探っていきます。
人類がその歴史のなかで、さまざまな社会的組織法のあいだを柔軟に往復し、定期的にヒエラルキーを構築したり解体したりしてきた。しかし現代の我々は停滞したままであることから、ここでの真の問いは「how did we get stuck?」になるだろう
David Graeber and David Wengrow (2021) – The Dawn of Everything: A New History of Humanity
人類学者ジェームズ・ウッドバーン(2001年)によると、農耕社会が出現するよりもはるか昔、1万年以上前から狩猟採集社会は、季節や儀式に応じて首長制度や性差を戦略的に活用し、コミュニティ内の協力関係を自然発生的に促進していました。狩猟採集者の平等かつ協力的な社会は、文脈内で特定の例外を許容することによって成り立たせていたということです。
当時の社会において、通常、個人が他者に対して直接命令を下すことや、私有財産を主張することが厳しく制限されることがあり、物質的な財産への執着は最小限に抑えられていました。権力構造が非中央集権的で、階層制が弱い平等主義が見て取れます。しかし、これには興味深い例外があることが、彼の研究では明らかにされています。儀礼、すなわち聖なるものの領域ではこの原則が緩和され、特定の個人や集団が特権や所有権を行使することが許されていたのです。
具体的に、東アフリカ、特にタンザニアのエヤシ湖周辺のハッザ族や中央アフリカの熱帯雨林地帯、特にコンゴ盆地に生息していたピグミー諸集団では、男性(または場合によっては女性)が宗教的カルトに加入することは、しばしば儀礼的特権の所有という形で排他的な権利を与えられることを意味していました。これらの特権が通常の社会生活では禁じられている行為である秘密や欺瞞、時には暴力の脅威によって保護されていたのです。
宗教的カルトという特別なコミュニティへの参加によって得られる特権は、そのメンバーに社会内での特定の役割を与え、事実、社会的な秩序の維持に貢献した証拠が提示されています。現状では上手くいかない社会の穴に、社会内の関係性に良いメリハリをつけ、コミュニティ内の協力と調和を促進するメカニズムを提供するような特権的な仕組みを機能させること。一見すると共有と協力に基づく社会の原則に反するように見えますが、実際には社会内の複雑なダイナミクスを理解し、管理するための手段として機能したと解釈されています。
特にハッザ族は、このように内部の構造や権力のバランスを維持するだけでなく、社会の外部からも積極的に影響を受け入れ、組み込む能力があったと言われています。生物学的に異なる人々を村の集団生活にわざと巻き込むことで、近親者内で溜まりがちな鬱憤や権力構成の調整を図るとともに、社会内の多様性を意図的に高め、新しい視点やスキルを導入することで、コミュニティ全体の適応力と革新性を促進していました。統計的には、任意の居住集団のメンバーのうち、共通の祖先に由来する生物学的親族の占める割合は一〇%にも満たないことがわかっています。ほとんどのメンバーが、近接した遺伝的関係を共有しておらず、出自もきわめて広大な地域に拡散していたのです。
彼らの生活から学ぶべきは、遠い過去の社会でさえ、状況に応じて社会を良くするために必要な独特なコミュニティ、ルール形成、そして異なる規範などを採用し、受け入れる柔軟性と能力を持っていたということです。複雑な関係社会を心に保持し、特権的なコミュニティ活用や儀礼による認知作業を通して想起することができるのです。狩猟採集民はときに小集団で行動することはある一方で、小規模の社会で生きているというわけではありません。この学びは、巨大なグローバリズムが犇めく現代社会において、収縮しつつある協調的なステークホルダー間の共創プロセスに、適用することができるのではないでしょうか。
Life Style of Hadza tribe
現代社会における共創とインパクト創出の課題
ジョルジョ・アガンベン(2005年)の「例外状態」の概念は、状況に応じて異なる規範や権力構造を特権的に濫用するネガティブな言葉として生まれました。この中心的なテーマは、政府が緊急時に通常の法律を一時停止し、例外的な措置を採用することを可能にする法的概念を表しています。つまり通常の民主的プロセスと法的制約を一時的に停止することで、特定の政治機関やリーダーは自身に権力を集中させることを可能にしている状態のことです。「裸の生命」(bare life)の概念を用いて、アガンベンは例外状態下での個人の権利と存在の脆弱性を示しているのですが、興味深いことに、この概念はCOVID-19パンデミックの文脈で異なる解釈をされています。そして私は、そこに現代社会への柔軟で集団的な共創の応用が可能ではないかと考えています。
緊急事態下における「相互扶助(Mutual Aid)」「共生(Conviviality)」といったフレーズを耳にしたことはあるでしょうか。COVID-19による緊急事態下では、時間、リソース、予算の厳しい制約が重なったことから、国家と市民が異なる国々で共通の目標を達成するために、自発的かつ強制的、かつ必要に迫られて活動や政策を共同で生み出す機会が生まれました。様々な人や組織間での敵対的な関係性がリセットされ、力のダイナミクスが中立化される新しい環境が創出され、ゼロから集団で力を再構築するといった事例がたくさん生まれたのです。
平和的な共存・共生のために、複数のステークホルダーが自己組織的に、社会的に貢献する手段と目的を擦り合わせ、新しい哲学と実践的な形態を階層的でなく民主的に開発する。そんな共生(Conviviality)は人類史上の1万年前から続き、緊急事態下では昨今も若干ですが見て取れるのです。
具体的な事例についての詳細についてはぜひHirayama(2021年)を参照してみてください。
Ideal Model of Impact Creation, made by author
上記のモデルでもう一点大事なことは、確かだと信じるビジョンに向かって連鎖的に戦略を重ね合わせていくことです。上記の図ではStrategic Chain – Circular – と呼んでいます。壮大なビジョンの前には一個人の力は無に等しい。なので、他者と同じ志を持つまで戦略を練り、試行錯誤を繰り返して事を運ぶ必要が出てきます。
この点において、この世に最も変革をもたらしている人物の一人、イーロン・マスクからは目を見張るほどの学びがあるのです。マスクの生み出した変革は、協議のためのコミュニティから始まってはいないものの、彼の強固なビジョンと人と惹きつけ巻き込む力で次々と連鎖的にユニコーンを設立しています。彼のビジョンはシンプルでありながら深遠です。
「地球上のリスク(自然または人為的)から人類を守り、人類を多惑星種族にすること」によって、本質的に人類の未来と持続可能性に貢献する。
1. 2002年にマスクによって設立されたSpaceXは、この壮大なビジョンを実現する中心的役割を果たしています。
2. 2003年に共同設立されたTeslaは、持続可能性を念頭に置いて創設され、気候変動との戦いに不可欠であり、SpaceXと密接に関連しています。SpaceXの宇宙探査技術とTeslaの電気自動車、エネルギーソリューション、バッテリー技術とのクロスオーバーは明らかです。
3. 2016年に設立されたNeuralinkは、人間とテクノロジーの相互作用を再定義することを目指して、脳-コンピューターインターフェース技術の開発を進めています。実は、NeuralinkはTeslaの自動運転技術を実装するために設立されています。
4. 同じく2016年に設立されたThe Boring Companyは、交通渋滞を緩和するための新しい形態の地下交通システムの開発を進めており、このアイデアはTeslaの電気自動車やSpaceXの地上輸送システムから派生したものです。
Elon’s Consistent Vision for Mars
イーロン・マスクは、彼が手掛ける企業群において、一つの方向性へと導く戦略的連鎖を構築していることが分かります。SpaceX、Tesla、Neuralink、The Boring Companyといった企業は、それぞれが独自の分野で革新をもたらしながらも、社会的目標に対する強い関連性と戦略を共有しています。このような統合されたアプローチは、イーロン・マスクがどのようにして彼のビジョンを具体化し、持続可能な未来への貢献を実現しているかを示しています。
しかし、私たちはマスクのような個々の変革者の登場をただ待つだけではなく、何を解体し何を創造するかを、より多くの人と組織、そしてより高い交流頻度で、社会的な対話と呼べる、そんな「考える集合体」をモデル化していくこと必要です。対話と議論を起点とし、社会への希望と意志を持った個人や組織がイーロン・マスクのような「ビジョンの戦略的連携」を実践していくことが求められているのではないでしょうか。
現代社会における共創とインパクト創出の課題を乗り越えるために、私たちは何ができるのか。地域開発、評価、投資など様々な分野での経験を活かし、これらのアイデアについて皆さんと共に考えていければと思います。
Appendix
破壊的共創コミュニティを促進する役割とは
破壊的共創からインパクトの連鎖に繋げるためには、特定の役割の関与が必要であると考えており、それには以下が含まれます:
- ファシリテーター
- 評価者
- 投資家
- プロジェクトマネージャー
これらの役割は、単なる一般的な肩書きではなく、対話から生まれた集団意志を形成する上での重要なプレイヤーです。例えば、ファシリテーターは、アジア・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク(AVPN)のような組織であり、慈善活動の定義付け、研究の実施、フォーラムの構築をリードしています。
投資家の役割に関しては、Dream Incubator(DI)のNext Rise Social Impact Fundのように、社会実装のためのパイロットプロジェクトを創出するための投資を行なっている事業会社もあります。
プロジェクトマネージャーは、特に観光の文脈において、広島県のせとうちDMO(観光地域づくり法人)のような組織を見てみると良いでしょう。これは7つの自治体と10の観光関連事業、および民間企業との協力関係を構築していることで知られています。
様々な役割がある中で、あなた自身はどのような役割を果たせば、社会的な統一感とインパクト創出ができるオープンコミュニティを生み出すことができると思いますか?社会に意味のある変化を創造しようとするために、避けることのできない問いです。
The role of Impact Creation, made by author
今回は、社会的インパクトの創出における評価とDMOの役割について、私の見解をお伝えできればと思います。
「評価」を通じた新たな社会的インパクト創出への道
社会的インパクト評価は20年以上の歴史を誇ります。日本においては、特に2016年にGPIF(政府年金投資基金)がPRI(責任投資原則)に署名した後、アセットオーナーやマネージャーを通じて、日本企業へのSDGs意識のある経営の説明責任の開示が強化されました。これにより、社会的な文脈でESGパフォーマンスを評価する動きが高まった経緯があります。
Timeline of Major Social Impact Evaluation Initiatives by author
1999年に設立されたグローバルコンパクトに始まり、2006年には責任投資原則(PRI)、2012年には持続可能な保険原則が導入されました。さらに、ISO26000やGRI、IIRCといった標準化された報告ガイドラインが、企業の社会的、環境的、ガバナンスのパフォーマンス評価を促進しています。また、DJSIなどのESG評価指標は、企業の持続可能性と社会的影響の両方を考慮した投資判断をサポートしており、この全体的な流れが、企業が社会に対してより責任を持ち、ポジティブなインパクトを証明するような評価を推進する原動力となりました。
ESG, SDGs, and Impact Evaluation Movement
社会的インパクト評価はそれ自体、専門的な概念というわけではありませんが、インパクト創出のために行われる評価がなされるのは極めて稀です。その理由として、対話的な協議で合意され、十分に検討され、かつ検証余地のある基準がなければ、評価はその意義を失います。目的のない評価は、単に自己満足に過ぎません。
間違ったものを測定すれば、間違った行動をとることになる
Joseph Stiglitz, Nobel Prize Economist, 2021年Social Outcomes Conferenceからの引用にて
[*ソーシャル・インパクト評価とは:プログラムや政策が社会問題にどのように取り組んでいるか、およびその影響の大きさを明らかにすること。これには、プラスの影響だけでなく、マイナスの影響や意図しない結果を含む全体的なインパクトを理解することが含まれます。社会的インパクトを評価するためには、具体的な指標と基準が必要です。これには、教育の質の向上、貧困の削減、健康状態の向上、環境保護など、さまざまな社会的目標が含まれます。]
では、インパクト創出のために行われる評価とはなんでしょうか。インパクト創出の評価に必要とされる指標と基準を8つのタイプに分類し、下記の図で表してみました。各タイプの詳細には踏み込みませんが、多くの企業やコンサルティング会社は、主に指標とガイドラインに焦点を当てており、場当たり的な評価方法で採用していることが大半です。セオリー・オブ・チェンジやロジックモデルのような枠組みを原則、規範、目的に基づいて継続的に再評価し、常に調整する「インパクトマネージメント」事例は上場企業ではほとんで見たことがありません。
Evaluation Pyramid, made by author
評価のピラミッドモデルに記載されている項目を理解するのには時間がかかるため、すぐにでも活かせるジョセフ・スティグリッツとアンディ・スターリングの3D理論(2009年)から着想を得て策定した5つの原則を紹介したいと思います:
1. 既知と未知の要素を積み重ねたダッシュボードを作成すること。
2. 人々は価値観が異なるため、評価結果の解釈は異なります。したがって、調和のとれた価値の範囲を受け入れることができる主観的および客観的指標を組み合わせることが不可欠。
3. マクロレベルとミクロレベルの両方から評価すること。ミクロレベルでの多様性を評価し、マクロレベルでのプログラムと政策の拡大可能性と社会変革の適切さを決定。
4. 成果に紐づいた財政報酬に注意すること。a) 報酬と成果の連動は、しばしば実際の成果よりも報酬を優先させる可能性があります。b) 行動を促す(ナッジ)や付加価値を創出するための財政報酬の能力は限定的です。
上記はスティグリッツの話から得たポイントです。彼の意見はおそらくハンガリーの経済学者カール・ポランニーの「形式経済(産業社会)が実体経済から離れることを離散(disembedding)を抑え、経済システムの健全性は市場と非市場の関係の正常性を図る必要がある」という考えが反映されています。
[*例えば、日本を含む各国のPES(Payment for Ecosystem/Environment Services:生態系・環境サービスに対する支払い)は、金銭的報酬に関する議論の対象となっています。環境に関する非市場的価値を、生態系サービスを提供する地域主体に対する金銭的インセンティブに変換するPESは、自然保護に対する新自由主義的アプローチとされています。表向きは種や景観の保全のために実施されているが、PESは生態系サービスのために設けられた市場の崩壊や、貧困層のために設計された資源のエリート層への流用など、いくつかの弊害をもたらし、環境保全と貧困削減の目標のバランスを崩しています(Robertson, 2004; Pokorny et al., 2012).]
5. 常に3Dの視点から持続可能性を考える: Directionality, Distribution, Diversity
開発学者Andy Stirling (2009)のイノベーションの民主化 – より説明責任のある制度に向けて」にて提唱
- Directionality – 特定の持続可能性目標に向けた道筋。
- Distribution – イノベーションに伴う利益、コスト、リスクをより公平に分配すること。
- Diversity – 社会技術システムにおいて、堅牢性、安定性、回復力を構築すること、「ロックイン」効果を緩和すること、価値と持続可能性に関する一見相容れない視点を受け入れること。
どんなに非中央集権的なマネージメントをしようと、上記の3D視点を見過ごすようなマネージメントシステムは好ましい評価になることはない
Andy Stirlingを応用した様々な研究において、COVID-19における英国の医療システムの失敗が事例が挙げられています。官民パートナーシップ(PPP)によって複雑に構築された英国の医療システムは、パンデミック時に効果的に機能するために政府の大幅な介入を必要としました。しかし、持続可能性目標を持たないリーダーシップと運営権限の所在が明確でない体制により、ヘルスケアシステムの麻痺が長期化。マッキンゼーやデロイトのようなコンサルタント会社が主要分野の最適化を図ったにもかかわらず、3Dアプローチと方法論の統合の欠如が国家公共政策の失敗に結びつきましたとされています。
「原点」への回帰のために
DMO(Destination Management Organization)の役割
インパクト創出を行うオープンコミュニティへの「原点回帰」を追求する上で、私が注目している観光セクターの組織形態のひとつが、DMO(Destination Management Organization)です。
DMOは、地元の関与と協力的なガバナンスのユニークな融合を促進することで、従来の観光開発の限界に挑戦しています。地元企業から政府機関、地域住民に至るまで、多様な利害関係者を統合することで、DMOは地域社会の団結と目的を共有するための触媒として機能するのです。付け加えるなら、観光地づくりの司令塔として、地元ビジネスを含む官民の関係者と連携し、国内外の観光客誘致や地域情報の発信をリードする役割もあります。
もともとは欧米から始まったDMOですが、2007年に国連世界観光機関(UNWTO)がその役割と使命を明確にして以来、その重要性は世界的に認識されるようになりました。日本では、DMOは内閣府や各省庁から補助金や交付金、融資などの財政支援を受けることができる組織となっています。
観光地で営業する個々の店舗やビジネスは商品やサービスを提供するだけですが、地域の魅力を発信するプロモーションや集客などにおいては、個々の力だけでなく地域が一体となった取り組みが求められます。そのためDMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出しながら、地域への誇りと愛着を育むとともに、明確なコンセプトに基づいて観光開発の戦略を立て、様々なステークホルダーのハブとして戦略の実行をコーディネートする必要があるのです。
DMOの役割は大きく4つに分類できます:
- ステークホルダー間の合意形成
- 各種データに基づく戦略の策定と実行
- 交通手段、多言語サイン等の整備
- 関連事業のシステム構築とプロモーション
日本ではDMOの成功事例もありますが、10年経ってもその存在感は低いままです。多くのDMOは、政府主導か、公共性の強い民間企業が主導しており、その結果、利害関係者の合意形成に保守的なアプローチがとられることが多いのが事実。プロジェクトの実施前から、ステークホルダー間の力の不均衡が本来のDMOの役割を損なう結果になっているのかもしれません。
Elton John AIDS Foundationのスティーブ・ヒンドルは、私の問い合わせに丁寧に答えてくれました。
多くの地域開発・町づくりDMOは、いまだにトップダウン方式で運営されています。なので私たちも、1)政府や投資家のような上位のステークホルダーは、地元の関係者との協力に機能的なインセンティブを与えることができるか、2)市民やコミュニティの意思や意見を、入札や入札プロセスの前から確保することは可能か、を考えていかなければなりません。
なぜなら、「共創」とは、サービスの受益者の文化やニーズに表面的に応えるだけでなく、彼らの参加を積極的に促進することだからです。
[定義] *共創とは、”専門的なサービス提供者とサービス利用者、さらに他のコミュニティメンバーとの間の定期的かつ長期的な関係を通じてサービスを提供することであり、すべての関係者が実質的な資源貢献を行う “ことである。
Bovaird (2007), Tragedy of the commons or the commoners’ tragedyから要約
DMOモデルは、役割に関係なくすべての参加者が集団的ビジョンに貢献し、それを形作るという「共創」のコンセプトを支持する可能性を持っていると私は考えています。以下に描く包括的な参加型モデルは、地域経済を活性化させるだけでなく、社会基盤を強化し、帰属意識と共有アイデンティティを生み出すことができるのではないでしょうか。
Tentative ideal model of DMO, made by author
破壊的共創コミュニティの形成に繋がるDMOですが、マスクのような企業を生み出すにはまだ力不足です。複数の地域にてDMOを同時に発足させる役割を担って、個々のDMOの変革に火をつけるだけでなく、異なるDMO間の協力的な変革も促進すモデルも作ることができればと考えています。
その際に、国内外スタートアップの革新的な技術やアイデアのゲートウェイとしての役割を担っても良いですし、外部の金融機関と連携し、インパクト投資に分類される1) ブレンデッド・ファイナンス、2) デザイン・ステージ・グラント、3) テクニカル・アシスタント投資を組み込むことも良いでしょう。また、DMO自身がファンドを持つことも有益です。DMOが投資家とプロジェクト・マネージャーの役割も担いながら外部評価を取り入れ、成果と連動した財務リターンを設定できそうです。
統一された世界を描く
私の夢は国際連合(UN)ならぬ、「ユナイテッド・ワールド」(UW)を築くことです。単に世界的な大きい組織を作ろうというのではありません。個人や組織が、「時にはゆるやかに、時には社会のために犠牲を払う覚悟をもって、集まり、つながり、有意義な議論を交わすことができる」そんな「良い特権的な場」を作ることを目指しています。
今日、社会が直面している問題の多くは、政府や市民社会の失敗に起因しており、企業がその穴を埋めるという考え方は、自由民主主義にリスクをもたらします。このことは、政府や市民によって是正される市場の失敗についても同様です。私たちは短期的な決断を下しがちだが、世界が直面している課題には長期的な解決策が必要であり、失敗を補い、新たな目標に向かって努力するためには、できるだけ多くのプレーヤーが必要なのです。
Kartik Ramanna, Professor of Blavatnik School of Government, University of Oxford, and Dr. Dambisa Moyo, an economist at the Social Outcomes Conference、より要約
【ICMG Groupについて】
ICMG Groupは、創業20年以上に渡り、東京、シンガポール、バンガロール、サンフランシスコ、上海、ストックホルムをベースに、日本大企業のトップマネジメントへのコンサルティングサービス、ベンチャーキャピタル、CVC、デジタル、プロダクトデザイン、リーダーシッププログラム、再生可能エネルギー、脱炭素事業をグローバルで提供しています。また、東京電力・中部電力と再生可能エネルギーや次世代インフラへの投資を行うジョイントベンチャーをシンガポールに設立しており、国連UNDPとは、SDGsイノベーションに関するパートナーシップを締結しています。ベンチャーキャピタルでは、Sequoia CapitalやGoogle、Tiger Global Management等のグローバルトップVCとシンガポール、インド、東南アジアで共同投資を行っております。また、日本大企業の経営層の持つパーパス、ヴィジョンをデジタルの力に繋げ、社会のイノベーションを加速する株式会社ICMG Digitalを2023年にローンチし、2024年には、元Microsoft米国本社のDirector of Product Design and Research, Frontline Studios GMであったAna Arriola-Kanadaと日本企業のプロダクトデザインを実行するICMG Nextをローンチしています。これらの多様な価値を創出してきたICMG Groupのコアバリューは、常に企業、組織の見えざる価値を可視化し、将来像(パーパス)を描き、その価値創造を実現させてきた知的資本経営(Intellectual Capital Management)にあります。
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