-Innovation Leadership Challenge の事例-
VUCA時代といわれあらゆる環境がめまぐるしく変化する中、企業単独で新たな価値を創出していくようなスタンドアローン型イノベーションの限界が来ています。持続成長の為にはDiversityが不可欠であり、企業の枠を越えて多くのステークホルダーを巻き込み、共創型で新たな価値を創造していける人材が求められています。しかし、既存業務の延長線では多様な経験や価値観を獲得する機会はそう多くはありません。企業内で閉じてしまい、コンフォートゾーンを抜け出ることもなく、社内での立ち回りだけが上手くなっていくということが起こりがちではないでしょうか?
上記のようなビジネス環境の変化を背景に、人材育成も企業の枠を越えた異業種交流型の研修が注目されています。今回は、昨年度ICMGで実施した「Innovation Leadership Challenge 2020」をサンプルに、共創型人材の育成にあたってどのような機会が必要なのか紹介していきます。
Out of the Boxに挑戦する異業種交流型研修
異業種交流型研修(当社では「他流試合形式」と呼んでいます)は、複数の企業から参加する受講生が、企業の枠を越えてテーマに取り組むことで共創型人材を育成しようという試みです。しかし、他社との協働だけでは、これからの時代のリアルなビジネスを共創していくのには不十分です。
Innovation Leadership Challenge(以下、ILC)では、プログラムパートナーとして、スタートアップやソーシャルリーダーといったリアルに活躍しているプレーヤーにも参加してもらうことで、より実践的な協働体験を行っています。ILC 2020では、パートナーにシンガポールのSustainable Living Lab(SL2)社を迎えました。
シンガポール政府と連動しながらSDGsにおけるイノベーション創出を推進するSDGs Innovation Accelerator。シンガポールのみならず各国にてSDGsにおける多様なイノベーション創出を加速してきた豊富な実績を有し、SDGsにおける共創型でのイノベーションをリードしている。
海外イノベーティブリーダーとの協働
プログラムの流れとして、ILCではまずプログラムパートナーからテーマが与えられます。今回は「SL2が開発するIoTツールのアジア展開戦略を立案せよ!」でした。企業を越えてチーム分けされた受講生は、それぞれのチームごとにIoTサービスの対象となるペルソナを設定し、その対象が持つ課題を考えます。そして、「モノ」と「情報」をどうつなげてその課題を解決するのかをチームそしてSL2との協働を通じてまとめいき、最終的にビジネスプランをSL2に提案するというのが大きな流れになります。
勿論、ただテーマに挑むだけではなく、Future Thinkingのフレームワークやピッチのテンプレートなど、アイデアを具体的なビジネスプランとし、提案するための手法を学ぶワークショップを織り交ぜ、学習と実践を繰り返していきます。
3つのラーニングポイントを設定
研修のラーニングポイントとして、ILCでは次の3点を設定しています
- バックキャストでアイディエーションすることにより、ビジネスの基点となる根源的な社会課題を捉え、ソリューションをデザインするプロセスを学ぶ。
- 社会課題解決をテーマに実際にビジネスを立ち上げているソーシャルリーダーからイノベーティブリーダーシップの要諦(コンセプトメイキングや共創の技法)を学ぶ。
- ソーシャルリーダーとの対話を通じて、日本のみならずグローバルに、また企業に留まらず地域全体に目を向ける広く高い視座を養う。
これらのポイントに基づいて、受講生は「IoT を通じた社会課題解決」というビジネストレンドについて理解し、それに基づくビジネスモデルの構築についての知見を獲得しました。最終的な提案の一例としては「お年寄り」をペルソナとして設定したチームからは「一人暮らしのお年寄りの見守りサービス」が提案されました。これは、睡眠時の呼吸や表情を解析し、非常時には救急に連絡がされる仕組みで、孤独死をさせないというソリューションになります。
最終提案に対しては、次のような3つのポイントから審査を行い、最終的な評価(採点)まで行っています。
- リアルなサービスになっているか?
- ターゲットにソリューションを提供しているか?
- ビジネスモデルがマネタイズできるものとなっているか?
(最終プレゼンテーション例)
「足らず」を自覚し、コンフォートゾーンを抜け出す
研修の一番の効果としては、受講生が海外のソーシャルリーダーや他の受講生との対話や議論を通して、自らの「足らず」を自覚し、コンフォートゾーンを抜け出して、自発的なストレッチ(成長)の基点になるということです。事業開発に慣れていない受講生は、アイディエーションを他者とやる段階でまず戸惑います。さらにそれを海外のパートナーと行うということで、これまでの常識が通用しない状況に直面し、ここで受講生はまず様々な自らの「足らず」を自覚します。
今回あった嬉しい誤算として、受講生が自発的に英語に取り組み始めるということがありました。当初プログラムの進行は、日本語通訳を交えて進めていましたが、海外パートナーに受講生が英語で受け答えをするようになった為、最終的に全て英語で行われるようになったのです。コンフォートゾーンを抜けてストレッチし始めたということです。その理由の一つとして、他流試合形式の効用があると考えています。研修に参加する受講生は自社の期待を背負ってきていますので、他社の人たちに負けられないという競争意識を持っています。共創だけではなく、良い意味で競争することでより良いものが生まれます。
アフターコロナを見据えて
研修は、新型コロナウイルス対策もあり、フルオンライン形式でのプログラムで行われました。一方で、アフターコロナにおいても海外との連絡の主流はオンラインにシフトしていくことは間違いありません。対面以上に会話スキルやツールの活用が要求されるオンラインでのコミュニケーションに慣れる機会としても活用できる為、今後もオンラインでの形式は継続していく予定です。
異業種交流型の研修は多数ありますが、本プログラムのように具体的に海外のパートナーのサービスを基に実践的なアイディエーションを行う研修は他にない特徴です。二ヶ月間(ワークショップ自体は4日間)と短期間ではありますが、これからの企業イノベーションを担うリーダー育成の基点となるものと考えています。
【ICMG Groupについて】
ICMG Groupは、創業20年以上に渡り、東京、シンガポール、バンガロール、サンフランシスコ、上海、ストックホルムをベースに、日本大企業のトップマネジメントへのコンサルティングサービス、ベンチャーキャピタル、CVC、デジタル、プロダクトデザイン、リーダーシッププログラム、再生可能エネルギー、脱炭素事業をグローバルで提供しています。また、東京電力・中部電力と再生可能エネルギーや次世代インフラへの投資を行うジョイントベンチャーをシンガポールに設立しており、国連UNDPとは、SDGsイノベーションに関するパートナーシップを締結しています。ベンチャーキャピタルでは、Sequoia CapitalやGoogle、Tiger Global Management等のグローバルトップVCとシンガポール、インド、東南アジアで共同投資を行っております。また、日本大企業の経営層の持つパーパス、ヴィジョンをデジタルの力に繋げ、社会のイノベーションを加速する株式会社ICMG Digitalを2023年にローンチし、2024年には、元Microsoft米国本社のDirector of Product Design and Research, Frontline Studios GMであったAna Arriola-Kanadaと日本企業のプロダクトデザインを実行するICMG Nextをローンチしています。これらの多様な価値を創出してきたICMG Groupのコアバリューは、常に企業、組織の見えざる価値を可視化し、将来像(パーパス)を描き、その価値創造を実現させてきた知的資本経営(Intellectual Capital Management)にあります。
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