世界ではいま一人ひとりが身体的にも、精神的にも、社会的にも、健康であり、良好であり、幸せであり、人間らしくあり、豊かであるという「Well-Being」への注目と期待が高まっています。
その背景には、これまで経済成長に価値の重点が置かれ、経済指標(GDP・売上・利益など)を追求し、経済合理性がないもの(短期的な利益につながらない、スケールしない)が重要視されなかった結果、貧困と飢餓、地球環境の悪化、拡大し続ける格差など、経済合理性にフォーカスをしていては解決できない課題が無視できないレベルとなっている状況があります。本稿では、この Well-being について解説します。
ポストSDGsにおける中核的なキーワード
世界の未解決課題の解決に焦点をあてたものとしては、国連がイニシアティブを取りコンセンサスを獲得したSDGs(持続可能な開発目標)があります。SDGsのポイントは、「包括的な視点の重要性」が強調されたことにあります。
- 「新興国だけではなく、先進国も含めた地球全体(For our planet)の視点」
- 「経済、社会、環境という全ての次元(At all levels)を含めた統合的視点」
- 「地球上の誰一人取り残さない(leave on one behind)というインクルーシブな視点」
と、経済重視によって見過ごされてきた課題を2030年までに包括的に解決しようする取り組みです。
SDGsの背景には、先に述べたように経済成長を重視していた時代から経済価値に偏重しない Beyond Capitalismの時代への転換の流れがあります。この「従来型の資本主義を超える世界を創り出す」という挑戦がいま世界中のリーダーによって行われています。
そして、これからの時代の中核的価値観となるのではないかと言われているのが「Well-being」です。Well-beingは、「人間本来の健康的な豊かさ」とも表現されますが、非常に多次元的な概念であり、単に個人の状態を示すものではなく、これからの時代の一人一人の目的とは何なのか、それを支える国家・企業・地域、そして、社会・経済・環境はどうあるべきなのかを考える軸とされています。
新しい事業創出の鍵につながる
「Beyond Capitalism」というのは非常に象徴的な表現ですが、本質的には従来型の資本主義の考え方にとらわれず、これからの時代の一人一人にとって本質的な意義を追求するためのイノベーションを志向することです。多くの企業もまた経済合理性にとらわれない新たな価値観のもとで事業を創出しています。ここではその一例をご紹介します。
新薬開発をAIプラットフォームで効率化し、人類のWell-beingに貢献
「香港のスタートアップ Insilico Medicine」
- 創薬プロセスを合理化するAIシステムを提供する事で、臨床実験までの工程を従来の200分の1以下のお金、3分の1の時間に効率化
- 病気の反応の抑制効果のある薬の構造を見つけ出す過程では、AIで専門のデータセット、特許や過去の臨床試験データを分析し、有効分子のリストを作成するのに、従来の約2年間から約2ヵ月に短縮
- AIで指定した条件に収まるような分子構造のパターンを探索し、薬を最適化・有効性を高める過程を、こちらも従来の約2年間から約16ヵ月に短縮
1日100食限定だからこそ実現できるWellbeing戦略
「京都のステーキ丼専門店 佰食屋」
- 佰食屋では、100食限定という希少性によって顧客需要を惹きつけ続け、安定的に売れる仕組みが構築され、常に決まった売上が達成されている
- ユニークなポイントは、創業者が従業員のWellbeingを実現するために、意図的に限定戦略を用いているところ
- 佰食屋のオペレーションでは、毎日100食限定のため、労働計画が立てやすいため残業は一切なく、従業員のWellbeingを実現できるビジネスモデルとなっている
食品流通網を改善し、生産者も消費者もwell beingな世界を実現
「インドネシアのスタートアップ Eden Farm」
- インドネシアはエコノミスト誌の調査で対象25ヵ国中で2番目に位置づけられる等、1人当たり食品廃棄量が多い。その原因として、商流上に多重に、かつ信頼性の低い事業者が存在し、消費者に届く前に腐敗してしまうこと等がある
- 同社は農家と飲食店等を繋ぎ、商流を簡素化することでフードロスを改善。農家とは直接契約で需要予測と収穫時期予測を情報交換することで価格を安定させ、農家の安定的利益を確保。飲食店には食料廃棄を抑えるため、出荷前に農作物を検査し品質を担保するとともに返金にも対応。
トレンドにアンテナを張る
ICMGでは、東京大学で2021年度に実施された世界中の学生が共創しWell-beingに関する事業提案を行う「グローバル共創型イノベーションプログラム」を始め、様々なプロジェクトを行っています。
また、デジタルプラットフォーム「ICMG Innovation Platform」では、前段であげたような事業事例などグローバル最先端のスタートアップビジネスから見えてきた Well-being の可能性について紹介・解説しています。
Well-being に関する世界の事業事例、またICMGのWell-beingに関する取り組みについてご興味をお持ちの方は、下記をご覧ください。
ICMG Innovation Platformはこちらをご覧ください>>
【ICMG Groupについて】
ICMG Groupは、創業20年以上に渡り、東京、シンガポール、バンガロール、サンフランシスコ、上海、ストックホルムをベースに、日本大企業のトップマネジメントへのコンサルティングサービス、ベンチャーキャピタル、CVC、デジタル、プロダクトデザイン、リーダーシッププログラム、再生可能エネルギー、脱炭素事業をグローバルで提供しています。また、東京電力・中部電力と再生可能エネルギーや次世代インフラへの投資を行うジョイントベンチャーをシンガポールに設立しており、国連UNDPとは、SDGsイノベーションに関するパートナーシップを締結しています。ベンチャーキャピタルでは、Sequoia CapitalやGoogle、Tiger Global Management等のグローバルトップVCとシンガポール、インド、東南アジアで共同投資を行っております。また、日本大企業の経営層の持つパーパス、ヴィジョンをデジタルの力に繋げ、社会のイノベーションを加速する株式会社ICMG Digitalを2023年にローンチし、2024年には、元Microsoft米国本社のDirector of Product Design and Research, Frontline Studios GMであったAna Arriola-Kanadaと日本企業のプロダクトデザインを実行するICMG Nextをローンチしています。これらの多様な価値を創出してきたICMG Groupのコアバリューは、常に企業、組織の見えざる価値を可視化し、将来像(パーパス)を描き、その価値創造を実現させてきた知的資本経営(Intellectual Capital Management)にあります。
【本件に関する報道機関からのお問い合わせ先】
ICMG Group
Group Marketing Department
Call:+810368122511
Email:[email protected]
Website:https://www.icmg.co.jp